ぼくは、問題が解けない限り、ここから出ないと決心しました。頭の中では数学の問題をずっと考えて、そして結局、解けたのです。さもなければ、いまごろはミイラになっているでしょう。
そんな悠長なことはしていられない。自分が一つの問題を5時間も考えているうちに、外のひとは20問も答がわかlてしまう。それでいいのだろうかと思う人がいるでしょう。でもちがうのです。
「問題を自分の力だけで解いてしまうことができた。やった!」と、大きな喜びを感じられます。そして、数学にもっと興味がわいてくるのです。数学はおもしろいな、楽しいなと思えるのです。かんたんな問題でもいい。それを自分の力で解くことによって、興味がつぎつぎにわいてくるものです。それはポジティブな記憶になります。ポジティブな記憶は、頭の中に残るのです。
逆に、解答を見て20問がわかったとしても、「結局できなかった」と虚しさが残るだけなのです。この記憶はネガティブな記憶ですから、脳が忘れてしまうのです。
このように、ポジティブな記憶を残していくこと、そのためにいろいろな方法を自分なりに考えてください。そして実行してみて、自分に合わないとわかれば、別の方法を探せばいいのです。ぼくのとった方法もぜひ参考にしてみてください。
(ピーター•フランクル『ピーター流らくらく学習術』による)
(注1) ページをめくる:ページをあける
(注2) 断固:何があっても絶対に
(注3) 暗闇:真暗なところ
(注4) ミイラ:人間や動物の死体が乾いて固まったもの
(注5) 悠長な:のんびりした
(注6) ポジティブ:積極的、肯定的
(注7) 虚しさ:満足感がないこと
(注8) ネガティブ:否定的
問1 筆者は、数学が嫌いな人が多いのはなぜだと言っているか。
1 できるまでに長い時間がかかるから
2 できてもできなくてもかまわないから
3 できるかできないかのどちら化だから
4 できるかできないかがよくわからないから
問2「これ」とはどのようなことか。
1 夏休みに昼間ずっと親の別荘にいること
2 数学の問題集にある問題を解いていくこと
3 数学の問題をちょっと考えてすぐ解いてしまうこと
4 親と一緒に数学の分厚い問題集のなかの問題を解くこと
問3「これではダメです」とあるが、どうしてダメですか。
1 問題が多すぎて頭の中に残らないから
2 解答を見ても納得できず、解かなかったから
3 問題が解けなかったという失敗の体験になるから
4 解答をみて解き方が失敗だということがわかったから
問題4「そんな悠長なこと」とはどんなことか。
1 5分や10分でできる問題をたくさん解くこと
2 問題が解けるまでずっと何時間も考えつづけること
3 ベッドの引き出しの中で身動きもせず横たわっていること
4 解答のページをめくって、わからない問題の答えを調べること
問題5 記憶について、筆者が述べていることと合っているものはどれか
1 ネガティブな記憶は、頭の中に長くとどまらない。
2 ポジティブな記憶は、ネガティブな記憶ほど残らない。
3 ネガティブな記憶は、いやな体験として長く記憶される。