二级模拟试题10
問題① 次の文を読んで、後の問に答えなさい。答えは、1234から最も適当なものを一つ選びなさい。
近頃、テレビのコマーシャルを見て、思わず笑ってしまったのは、あるドリンク剤の宣伝だった。
電車の席で居眠りをしている若い女性が、次第に隣の男の肩にもたれ始め、ついにはのうえに倒れこんでしまういささかオーバーだが、よく見かける風景である。もうひとつは、若い男がつり革にすつかまりながら、これまた居眠りしているそして、ときどき、をガクン、ガクンと折りながらも、夢中でつり革にすがりついているシーンだ。問題のコマーシャルメッセージは、その後にでてくる若い男の顔が大うつしになり、ドリンク剤を手にしながら、こういうのである。
「結構きますよ!」
(①)なら、誰でもすぐわかるつまり、だいぶお疲れのようですが、これを飲めば[結構きますよ]という宣伝である。「きます」というのは、この場合、「効きます]と同義だが、それを[きます]と言ったところに、②この文句のねらいがある。というのは、この[きます]、あるいは「くる」という動詞は、たんに「効果がある」というより、「もっと激しく、ときには衝撃的に作用する」というニュアンスを持っているからである
それはともかく、私は興をひかれたのは「くる」のほうではなくて、その上につけられた「結構」という副詞である。日本人なら、それで充分通じるのだが、さて、これを外国語に翻訳するとなると、どう言い換えたらいいのだろう。そもそも、「結構」とは、それこそ、結構さまざまな意味をあわせもっているのであろる。名詞の用法となれば、まるで違った意味さえいくつもみられるし、副詞的な使い方でも、じつにさまざまな含みがある。
では、この場合の「結構」は、どうなのか、これも解釈しだいで、どうとも受け取れるが、だぶん、こうなのであろう。「あなたは疲れている。まあ、これを飲んでごらんなさい。あなたが予想している以上に効果がありますよ。だまされたと思って、ためしてごらんなさい。」
これだけの意味が、たった六字で表現されているわけである。とすれば、「結構」の威力たるや、たいへんなものといわねばなるまい。
ここで大事なのは、「予想しているいじょうに」という点である。日本人に日本人なりの尺度がある。その尺度は、私には、他の民族よりも、はるかに控え目に思われる。別語するなら、日本人は概して悲観的であり、物事に過度の期待を持とうとしない、ということだ。なぜなのだろう。期待が裏切られるのを極度に恐れるからである。はじめから期待していなければ、結果が悪くてもあきらめがつく。反対に、結果がよければ、それだけ喜びも大きい。要する、日本人は、失意や絶望に対して、たいへん臆病なのである。
問1 ( )に入れるものは何か。
1 疲れている人 2 日本人 3 人間 4 外国人
問2 ②「この文句のねらい」とあるが、そのねらいとはなにか。
1 「効きます」でも「きます」でも意味がわかるということ
2 「効きます」より「きます」と言うほうが日本人には伝わるということ
3 「きます」より「効きます」と言うほうが日本人には伝わるということ
4 「効きます」と「きます」の意味は同じだということ